たまり醤油って?



たまり醤油をご存知ですか?

「さしみ醤油のこと?」なんて思われている方もたくさんいらっしゃいますが、実はそうではありません。ちがいがわかると使い道が広がるたまり醤油のこと、ご紹介します。


 

しょうゆの種類


「たまり」と「しょうゆ」のちがいご存じですか?

しょうゆの種類は大きく分けて5つ。私たちが常日頃「しょうゆ」と呼んでいるのは「濃口しょうゆ」。関西でメジャーな「淡口しょうゆ」。主に愛知・岐阜・三重の東海三県で生産されている「たまりしょうゆ」。塩水ではなく生揚醤油で仕込む「再仕込みしょうゆ」。愛知県碧南生まれの「白しょうゆ」。








大きな違いは原料と熟成期間。「濃口」「淡口」「再仕込み」は大豆と小麦がおおよそ50%ずつ。小麦のおかげで香ばしい香が特徴です。「たまり」は大豆が ほぼ100%。香はおだやかですが旨味があります。

仕込みに使う水の量は「たまり」は「濃口」の50%〜80%位と少なく、この差が「たまり」独自のトロリとしたコクのある味にあらわわれています。

また「たまり」は一年以上かけてゆっくりと熟成させるため、大豆と塩が見事に融和してまろやかな味になります。その証として他の醤油よりも濃い色合いが生まれるのです。


 

たまりの種類


しょうゆの一種のたまり。そのたまりの中にも種類があります。

ポイントは仕込みに使う塩水の量。一般的に「濃口」では醤油麹:塩水を10:13で仕込みますが、「たまり」では10:5〜10と麹よりも少量。仕込みの塩水量によって10:5なら「五分仕込みたまり」、10:10なら「十水仕込みたまり」と呼ばれ、数字が少ない方がより濃厚なたまりになります。


 



たまりの使い方


色の濃さから塩辛そうに見られがちなたまりですが、濃口と塩分量は同程度。

山川醸造のたまりは旨み成分が一般的な濃口しょうゆの2倍近く含まれており、少量でコクのあるお料理に仕上がります。

お寿司やお刺身につけるのにはもちろん、照り焼きや豚の角煮、佃煮にお漬物などいろんな料理にお使いいただけます。いつもの煮物に隠し味のように少量たまり醤油を足していただくだけでもお料理にコクがでます!






 

たまりは醤油のルーツ?


日本を代表する調味料である醤油のルーツは古代中国の醤(ひしお)と言われています。醤とは食品を塩漬けにして発酵させたもので、草醤、魚醤、穀醤の三種類に分かれます。

 野菜を漬け込んだもの(草醤)が漬け物、魚を漬け込んだもの(魚醤)が塩辛として、今に形を残しています。そして穀物を塩漬けにして発酵させたもの(穀醤)が醤油の原型と言われています。

 鎌倉時代に中国から日本へ径山寺みそが伝わり、その製造過程で桶の底にたまった汁で食物を煮ると大変美味しいことが発見されました。この「たまり」こそが醤油の原点と言われています。偶然ともいえる発見に高温多湿の日本の風土と先人の知恵が加わって醤油が誕生したのです。

 七百年以上におよぶ歴史と、伝統を守る蔵人の心と技が一つになって、醤油は味・色・香が絶妙のバランスで調和しています。今日では醤油の無い生活は考えられないほどの必需品です。